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【2019年版】年末調整のおさらい

12月になり、人事総務部では年末調整の作業も本格的なピークを迎えています。昨年の法律改正により源泉控除対象配偶者という考え方が新設され、配偶者に対する税扶養の考え方が大きく変わりました。

また来年2020年の年末調整では、基礎控除の考え方なども変わり、益々年末調整は複雑になる予定です。ここでは年末調整について、基本的な考え方を整理していきましょう。

給与所得について

日本には所得の種類が10種類ありますが、一般的な会社員は会社と雇用契約を結び、「給与所得」の仕組みで課税されます。この給与所得の課税には、以下の3種類の税率があります。

毎月の給与計算では、上記の税率に従って概算となる税額を徴収します。ただしそれはあく

までも概算金額であり、正確な年税額は、その年1年分の支払いが確定した段階で算出されるものです。この毎月の給与から徴収した税額累計と、正しい年税額との差額を計算し、還付または徴収清算することを年末調整と呼び、多くの事業所では12月の給与で清算をします。

ただし中には年末調整ができずに確定申告をする必要がある主な人は、以下の通りです。

①本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人

②乙欄、丙欄を適用されている人

③年の中途で退職した人のうち、その会社で12月中の給与の支払を受けない人

※退職後、年内に転職する場合は、前職の源泉徴収票を提出することにより転職先で年末調整が行えます。

年末調整の基本的な考え方

年末調整は1から7の順番で計算します。

①給与賞与の各月の支給額、社会保険料、所得税額を書き出し、累計額を計算する

②支給額の累計額から給与所得控除後の給与等の金額を算出

③上記から所得控除を差し引いて1,000円未満を切捨 ④所得税率を掛ける

⑤上記から税額控除(特例増改築等住宅借入金等特別控除)を差し引く

⑥復興税率(102.1%)を掛けて年調年税額を算出する(100円未満切捨)

⑦給与賞与から預かっていた所得税の累計額と年税額との過不足を算出し還付又は徴収する

具体的な方法は、国税庁が配布している年末調整のしかたに詳しく掲載されています。源泉徴収簿に従って記入しましょう。

昨年の改正点

所得控除とは、以下の総称です。

①社会保険料控除(給与賞与からの徴収と自分で支払った国民年金保険料など)

②小規模企業共済等掛金控除(iDecoなど)

③生命保険料控除

④地震保険料控除

⑤配偶者控除

⑥配偶者特別控除

⑦扶養控除

⑧障害者などの控除

⑨基礎控除

この中で配偶者控除及び配偶者特別控除の考え方が、昨年大きく変更されました。

源泉控除対象配偶者と同一生計配偶者の新設

昨年配偶者控除の仕組みが変わり、給与所得者の所得額に上限が設定されました。上限は所得額1,000万(給与収入だと1,220万)です。

源泉控除対象配偶者とは、所得者の所得額が900万円以下(給与収入だと1,120万)で、その配偶者の合計所得金額が85万円以下(給与収入だと150万以下)の場合の配偶者を示すものです。つまり上記の図ではピンクから青の150万までのラインを源泉控除対象配偶者と呼びます。

なお、パート収入が103万を超えても150万までは控除額が同じ(38万)になりました。

そして従来上限が141万となっていた配偶者特別控除は、配偶者の年収が150万を過ぎても、201万6,000円まで受けられるようになりました。

所得額が900万を超えると控除額が低減します。控除額は下記のようになりました。

上限を超える所得を得ていても、配偶者の所得が38万以下でかつ障害を持つ場合には障害者控除の適用を受けることができます。そのために生計同一配偶者(所得が38万以下)という考えが昨年加わりました。

来年は配偶者以外の部分が変わってきます。次回は2020年の改正についてご説明します。 執筆:金子 美穂 社会保険労務士事務所Nsworks #社会保険労務士事務所Nsworks #金子美穂 #社労士 #年末調整 #入社管理 #WelcomeHR #源泉徴収 #扶養控除 #法改正 #2019年版

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