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外国人雇用の際の留意点について社会保険労務士が解説!

はじめに

昨今外国人を雇用する企業も増えてきましたが、日本人を雇用する際との違いなどについて人事担当者が留意すべき点を、社会保険・労働保険関係を中心に社会保険労務士が解説します!



外国人雇用の大前提

外国人雇用に関する大前提として、以下の5つを押さえておきましょう。

1.雇用する方が就労可能な在留資格を持っているかを確認する必要があります!

2.国籍による採用の差別や、採用後の労働条件の差別は禁止されています!

3.日本人労働者に適用される労働法等は外国人労働者にも適用されます!

4.日本人労働者にはない、外国人労働者の雇用届出義務があります!

5.努力義務ではありますが、外国人ならではの配慮が必要な点があります!


在留資格の確認と採用時の注意点

外国人は、出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められている在留資格の範囲内において、日本での活動が認められています。人事担当者は雇用する外国人が就労可能な在留資格をもっているかを確認する必要があります。もし就労可能な在留資格がないにもかかわらず就労した場合は、外国人本人が不法就労となるだけでなく、在留資格の確認を怠ったことにより企業側も「不法就労助長罪」(入管法73条の2)に問われます。


外国人を採用する際はまず在留カードの提示を求め、在留資格と就労制限の有無を確認します。一般企業で勤務していただく場合は「技術、人文・知識、国際業務」の在留資格が必要となるケースがほとんどです。

もし、留学生をアルバイトで雇用する場合はさらに確認すべき点があります。在留資格「留学」は原則として就労は不可ですが、「資格外活動許可」を得ていれば風俗営業以外であれば週28時間以内の就労が可能になります。留学生を雇用する場合は、資格外活動許可を得ているかも確認します。


また、在留カードの提示があった場合も、失効していないかどうかは忘れず確認が必要です。出入国在留管理庁のホームページで在留カード等番号が失効していないか情報照会することができます。また在留カードが偽造・改ざんされたものではないかどうかを確認することができるアプリも無料配布されていますので、併せて確認しておくことがよいでしょう。


留学生が就職する場合は、留学ビザから技術、人文知識、国際業務などへ在留資格を変更する必要があります。この変更手続きでは、雇用・労働条件が適正かどうか、現在の在留資格に応じた活動を行っていたかどうかについても判断材料とされますので、人事担当者は労働条件通知書や雇用契約書、在職証明書や実務経験証明書など必要書類の準備のサポートをしっかり行いましょう。


その他、外国人を雇用する際、労働施策総合推進法という法律によって事業主はハローワークに「外国人雇用の届出」をすることが義務付けられています。(ただし特別永住者を除く)届出の際は雇用する外国人が雇用保険の被保険者になるかどうかで届出書式や提出期限が異なります。


また、国籍によって採用差別すること、採用後の労働条件を差別することは禁止されています。たとえば日本国籍でないことのみを理由に、採用面接への応募を拒否したり、外国人の母国の物価水準に合わせて賃金を低く設定したりすることは、不当な差別として禁止されています。


労働法などは外国人労働者にも適用される

日本人労働者に適用される労働基準法、労働安全衛生法、厚生年金法・健康保険法、最低賃金法などの労働法は外国人労働者にも適用されます。前述の労働条件に最低賃金法が適用されるのはもちろん、一定の要件を満たした場合は日本人労働者同様、健康診断の実施、健康保険・厚生年金保険・労災・雇用保険等への加入が必要になります。

社会保険、特に厚生年金は帰国したら将来年金をもらえないのに手取り額が減ってしまうといった理由で、労働者本人が加入にネガティブな意見が聞かれることが多いです。しかし、「脱退一時金」という日本に短期間在留した外国人が、老齢年金の受給期間を満たさなかった場合に、支払った保険料の一部が返金される制度が用意されていますので、こちらをご案内すると良いと考えます。


脱退一時金は、日本国籍を有していない労働者が6か月以上10年未満(未納期間は含まない)厚生年金に加入した後、年金を受ける権利を有することなく、日本国内に住所を有しなくなった場合に支給されます。受給できる金額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率(最終月の属する年の前年10月の保険料率に2分の1を乗じた保険料率に、被保険者期間に応じて定められた数をかけたもの)を乗じて算出されます。


退職時の注意点

外国人労働者が離職する際も採用時と同様に事業主はハローワークに「外国人雇用の届出」が義務付けられています。(特別永住者を除く)こちらも、外国人労働者が雇用保険の被保険者になるかどうかで届出の書式や提出期限が異なります。

離職するからといってこの届出が未届けの場合は30万円以下の罰金が科されますので注意が必要です。

また、離職後に帰国する場合は前述の脱退一時金の請求手続きについて外国人労働者本人に改めてご案内します。この届出は日本の住所をなくして出国後2年以内に手続きする必要があります。

再度日本で就労し、通算して厚生年金の加入期間が10年以上となると、将来老齢厚生年金の受給が可能になりますが、脱退一時金を受給すると加入期間が通算されませんので、その点もよく確認した上で手続きを案内します。


その他、外国人雇用にあたり企業に課される努力義務

その他、外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針というものにより、事業主には外国人の雇用環境改善等に関する努力義務が課されています。努力義務にはなりますが、外国人を多く雇用しているまたはこれから雇用を増やす場合は、この指針を念頭によりよい雇用環境を提供できれば、外国人労働者の採用や雇用維持につながると考えます。


指針で示された主な努力義務

・求人要領や労働条件通知書などは母国語や平易な日本語を用いて、外国人労働者が理解できる方法で明示するよう努めること。

・外国人労働者の苦情や相談窓口を設置して職業上だけでなく日本における生活上の苦情や相談に対応するよう努めること。

・在留資格変更等の際に勤務時間の配慮を行うよう努めること。

・やむを得ず解雇等を行う場合は、再就職にむけての必要な援助を行うよう努めること。

・外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、雇用管理の改善等に関する事項等を管理させるため、人事課長等を雇用労務責任者として選任すること。



終わりに

いかがでしたでしょうか。労働者である以上外国人であっても日本人であっても、等しく法律によって守られ、等しく労働者としての義務も課されます。また、外国人労働者特有の罰則を伴う手続きも忘れず行う必要があります。

今後は、より一層の労働力不足が予想され、外国人材の活用が不可欠となっていきます。外国人労働者が日本の生活習慣や文化、雇用慣行等に理解を深めるとともに、日本人労働者と円滑なコミュニケーションをとりながら活躍できるよう、雇用環境を改善することでより一層の外国人材の活用につながると考えます。



【執筆者プロフィール】



















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