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執筆者の写真Gustavo Dore

情報には価値がない。情報の出し手に価値がある。

とある社団法人から「バックオフィス業務を手伝ってもらえませんか?」と声をかけて頂きました。

そこはいわゆる業界の未来を考えるために各社から代表が集まり、個別の企業では解決できないような大きな課題や行政、大学との連携について取り組む法人。

10年ほどの歴史がある法人ですが、そこに私の知り合いの方が運営に参画するようになり、組織運営をよりビジネス志向に変革していく中で、バックオフィス業務についても効率的に変えていこうと相談がありました。

ところが、いかんせんこれまでは収益化に積極的に取り組んでいなかったため、バックオフィス業務にもコストをかける余裕がない。その中でなんとかお互いに良い関係をつくることが考えられないか、ということでお声がけして頂いた経緯です。

ふと思い浮かんだのは、「バックオフィス業務限定のプロボノ」になると面白いなと思ったこと。

プロボノとは、プロのボランティア=自分の専門知識を生かしたボランティアのことで、私も数年前にサービスグラントさんでNPO支援のプロジェクトに参加したことがあります。

「プロボノ」とは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かしたボランティア活動】を意味します。 https://www.servicegrant.or.jp/probono/

このとき、私ははじめて大企業のプロジェクトマネージャー職の方達とご一緒する機会を得て、仕事の進め方に尊敬をした一方で、自分も思っていたよりいけるなと感じることができました。

仲良くなるだけでは分からない。一緒に仕事をしてみて分かることもたくさんあります。自分の足りていないスキルに気づくこともあれば、自分では意外でも他者から評価されるスキルに気づくこともあります。

無料で知識を提供することは悪いことか

そうしたプロボノはボランティアなので基本的に無報酬で動きます。この「無料で専門的な知識を提供する」という点については、様々な意見があるでしょう。

「プロが無料で教えてくれると思うな」「プロなら業界のために安請け合いをするな」

本当にごもっともなのだけれど、私は基本的に相手が自分の知識に敬意を持って接してきてくれている限り、無料だろうができる範囲のアドバイスはします。

単純に本当に困っている人が目の前にいて、自分の身に着けてきた知識を伝えることで前に進めるのであれば、手を貸したい。でもそれは、社会奉仕でも何でもありません。

必ず自分に返ってくると考えているので、そこには何の躊躇もないだけです。

私がとても大事にしている言葉は、

情報には価値がない。情報の出し手に価値がある。

という言葉。

税務についても当然そうなのだけれど、元々法律や専門書、インターネットにも膨大に情報は載っていて、自分1人しか知らない情報など、この世界に一つもありません。そうした膨大な知の体系の中にいるからこそ、自分が過去15年程で身に着けてきた知識などちっぽけだと感じるのかもしれません。

だから、自分の知っている情報は惜しみなく伝えていく。そうするとまた情報が集まってくる。情報そのものではなく、その情報を編集する能力や経験、視点に私は価値があると考えています。

バックオフィス業務担当者がプロボノに従事するメリット

だから、バックオフィス業務に従事している方も、プロボノのような他社のお手伝いを通じて、自分の持っている情報を積極的に出せる環境ができるとよいだろうなと感じています。

まず、そうした活動を通じて他の組織を覗くことができます。転職をせずとも他の組織のバックオフィス業務の仕組みに触れることができる機会はあまりありません。規模も会社の目的も違う組織を中から見ることで、今の会社について客観的に振り返ることができるようになるでしょう。

特にバックオフィス業務周りでは、使っているツールによって業務が全く違うことがあります。自社ではクラウドを使うことができないけれど、そうした他社へのプロボノを通じて様々なクラウドツールに触れることができるということもあります。

それから、他のメンバーのスキルを間近に見ることができます。通常、他社で働くバックオフィス業務の担当者同士で一緒にボランティア活動することはありません。幅広い業務を担うバックオフィス業務担当者なので、一緒に手を動かすからこそ見えることがあります。

それは、Twitterやイベントで他の組織のバックオフィスで働く人と交流するのとはまた違った刺激を得ることに繋がります。

まずはそうした活動に参加してみて自分が知っている情報を出す。可能な範囲で情報を惜しみなく出す。そうすると、周囲が自分を形づくってくれるようになります。

なかなか自信がなく発信が苦手な方も多いと思いますが、そうした方ははじめの一歩としてそうしたプロボノ活動に参加するのがいいかもしれません。

今回の件もそうですが、そうした機会は意外と周りにあるでしょう。SOU-MUでもそうした機会を提供していければと考えていますので、興味のある方は是非お声掛けください。

税理士・中小企業診断士 S0U-MU PROJECT代表  田中 慎

経営者の良きパートナーになりたいと、税理士資格、 中小企業診断士資格を取得。2019年より 総務やバックオフィスで働 く人達のためのSOU-MUプロジェクトを開始。 「SOU-MU NIGHT」など、 起業家とバックオフィスで働く人達が地域で繋がり、支え合う環境づくりを目指している。

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