この投稿はポール・グラハムの2009年のエッセイを私なりに取り入れたものです。
私は熟練のデザイナーとして、いつもどの会議も自分の予定や集中力を台無しにしてしまう状況に苛立っていました。数年間仕事をして、私が最高の仕事をする時はそれぞれのタスクに3時間から4時間の別々の時間枠を設けていることが多いと気づきました。これは集中し、草案を作り、議論し、草案を吟味し、最終版を仕上げる時間になることが多いのです。
しかし、私がソニーやリクルートのような大企業で仕事をしていた時は、仕事の途中で常に会議による中断がありました。日本では大抵、他のチームメンバーと1時間の会議をします。そんな会議が私の創造の時間に開かれていたのです。ですから、13時を過ぎて仕事を始め、14時に会議があるとすれば、15時に自分の机に戻った頃にはほとんど何もできていない状態でした。
Y Combinatorの創業者であるポール・グラハムのこのエッセイを目にするまでは、その理由がわかりませんでした。Y Combinatorはこれまでのスタートアップのアクセラレーターの中でも屈指の大手であり、AirBnb、Stripe、Dropboxを支援していることで知られています。
考え方としては、世界には二種類の労働時間があるというものです。クリエイター時間とマネージャー時間です。マネジメントの時間は事業に関する事柄を決める一方、クリエイターの時間はエンジニアやデザイナー、その他のクリエーターが通常取り組んでいる事柄を決めます。
私の最初の体験は、クリエイター時間の中でのクリエーターの仕事でした。しかし、会社の中で力を持つようになると、私はマネジメントの時間の使い方に沿うようになっていきました。力のある地位に就いているほとんどの人は、仕事をするにあたってマネジメント時間を念頭に置いています。大きな括りで時間をブロック分けする時ですら、私は毎時間か、それに近い単位でタスクを変更することになりました。
正直に書くと、どちらかと言えばビジネスパーソンになった今でも、私はクリエイター時間で仕事をし、事業計画や行動をもっと創造性をもって展開したいのです。そしてそのようにタスクをこなすためには、長く、まとまった時間が実際に必要なのです。
課題は—- どのようにすれば、クリエイティブチームの仕事の流れを乱すことなく彼らと一緒に仕事ができるのでしょうか。私は1日の始まり、真ん中、終わりに彼らの時間をもらおうとしています。ですから、私の会社の勤務時間が9時半から18時だったとしたら、私は、彼らが自分の仕事を始める前の9時半から10時半の約束をとりつけます。あるいは、昼食の直後の13時から14時、もしくは、彼らの最後の時間帯の17時から18時です。私は必ずその時間にするという約束はできませんが、そのスケジュールに合わせるよう、最善を尽くしています。私との約束を果たしても、彼らは中断なしの仕事の時間枠を3時間から4時間、確保することができるでしょう。
スクジュールにおけるこの違いの影響が最も大きいのは、実は、社外の人たちとの会議を予約する時です。マネージャー時間で動いているなら、それは単に時間枠を探して予約をするだけのことです。しかし、そうでない場合は、社外の人との会議で1日が丸潰れになるかもしれません。
ですから、マネージャー時間で動いている場合に、自分の事業の助けになってくれるかもしれない人物と会うように友達に求められたら、2つの選択肢があります—- 失礼して会議を断るか、承諾して自分の仕事を後回しにするかのどちらかです。
私は、プロジェクトマネージャー兼CEOとして、そのような会議からできる限り自分のチームを守るようにしています。多くの場合、チームのエンジニアを同席させるように要求されたとしても、私は1人で会議に行くでしょう。私はマネジメント時間で動いており、会議のために簡単に時間を割り当てることができるからです。
ポール・グラハムが私たちに教えてくれているのは、相手も二種類の労働時間の違いを理解している限り、このジレンマでそれほど苦しむ必要はないということです。クリエイター時間にいる人たちは譲歩しようとします。彼らはいくつか会議をしなければいけないことを知っているからです。また彼らは、もう一方の時間の使い方で動いている人たちに、とにかく会議による負担を理解するように求めるべきです。
WelcomeHRで働く自分のチームに対して、私は社外の会議からかなり守っています。開発チームが時には自分たちにもそれが必要であることを忘れてしまうほどです。ある日、私たちのデザイナーの1人が会議に姿を現しませんでした。私は苛立って彼に電話をしましたが、出ませんでした。40分後にようやく折り返しの電話があり、彼は要件を尋ねました。事の次第はこうでした。チームの意思伝達はほとんどがSlackを経由しているため、彼は電子メールのチェックを数ヶ月前にやめており、私の招待に気づかなかったのです。さらに、彼は何らかの大事なタスクの仕上げの「集中モード」にあったため、電話に出ませんでした。私は彼がクリエイター時間で動いていたからと言って、彼に腹を立てることはできませんでした。私にできることは、二度とこの予約をしないということだけです。
さて、自分のチームとの社内会議をどのように扱っていますか?社外の人たちとの会議は?彼らの時間の管理にも配慮していますか?彼らの行動はクリエイター時間とマネージャー時間のどちらに基づくものですか?
これを人々が理解しやすいようにする一つの方法として、この考え方の共有があります。自分のチームとこれを共有し、何らかの共通の言葉を作りましょう。他の人たちも自分の可能性を最大限に活かして仕事ができるよう、手助けしましょう。
【執筆者プロフィール】
ドレ・グスタボ(ドリー) CEO (Chief Executive Officer)
新しい働き方を目指し、HRTECHベンチャーのワークスタイルテック株式会社取締役。元ソニーVAIOの商品企画において、グローバルなボリューム商品からハイクラスな商品までを担当し、リクルート(株)においては様々なインターネットサービスのUI/UXの設計を行う。慶應大学でデザイン思考の修士課程を卒業。VAIO時代からリクルート時代を含めて、イノベーションを目的としたプロジェクトリーダーとしての役割を果たす。
「テクノロジーで個々に最適な働き方の選択肢を与える」世界を作りたい。
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