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執筆者の写真Gustavo Dore

みんなで考える、これからのバックオフィス業務

税理士としてだけでなくバックオフィスの改革にも積極的に取り組み活躍されている 田中慎さんに執筆いただきました。

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緊急事態宣言が解除され、関西でも商業施設が再開されました。

だけど、積極的な声掛けは禁止、ソーシャルディスタンスを保つ、という中で元の日常に戻るのはまだまだだろうし、そもそも「元の日常」とは何なのだろうと考えることも多くなったのではないでしょうか。

大阪の通勤の光景は、ほぼ以前の状態に戻っています。自分の身の回りを見ていても、せっかくzoomを使った会議に馴染んできたのに「外出OKになるんだったら、じゃあ集まって会議やりましょうか」という人も多い。

えっ、そこも元に戻すの?

「New Normal(新しい日常)」という言葉も自粛期間中のつい先日まではもっと身近な存在だったし、今後もリモートワークを原則とする会社も少しずつ増えてきています。しかし、地方に目を向けると特にオフィスワーカーにとっては自粛休業期間をはさんで元に戻るだけという会社が多いのだろうと感じています。毎日決まった時間に出社して、決まった時間会社にいるという「元の日常」に。

今回の大きな社会環境の変化に合わせて、同じように自粛していた会社であっても、働き方に対する「考え方」を変えた会社、変えなかった会社では大きく今後の働き方の差がつくのだろうと感じます。

今回、都市部での影響が大きかったものの、影響の小さかった地方ではやっぱり考え方が変わらないのかもしれません。地方の会社のオフィスワーカーにとって、今回リモートワークを実現するために導入したクラウドサービスやIT機器は、結局今後第2派、第3派が来たときに、再度自粛休業をするときの緊急避難的な備えでしかない、というのが多くの会社の現状なのではないでしょうか。

元に戻すのは「今までの働き方に」ではない

バックオフィス業務に限定して話すと、今回一時的にリモートワークを導入したところもあれば、隔日勤務などの対応で休業したところもあると思います。長い春休みが終わり、マスクをして出勤し、消毒液を使い、距離をとってバックオフィス業務をするために出社をする。やっぱり集まって仕事をするのがいいよね。

そんな会社に違和感を感じる若い世代の方は、その会社を離れた方がいいのかもしれません。社会の変化に対応できない会社で働き続けることは、自分のキャリアにとってもプラスにならないからです。それが今回の対応で明確に分かるようになったと感じます。

私の知っている会社の中でも、4月の売上がゼロになってしまった会社も少なくありません。それでも以前から魅力的だった会社は変化に対応して次々とオンライン展開をリリースしています。

それも、決して集まることができないから仕方なくオンラインをしている訳ではなく、もともとオンラインでも展開できる力があり準備をしていたけれど、今回の「社会の変化」に合わせてオンライン展開を進めている。一見同じように見えて、その差はとても大きいものです。

バックオフィス業務でいえば、従来から電子契約やクラウド会計などのクラウドサービスに対する情報にアンテナを張っていて導入のタイミングを窺っていた企業は、これを機に導入を進めても比較的うまく浸透するはずです。

またツール以前の話で、今回オンライン会議を導入してみて、その会議は本当に全員が集まって参加する必要があるのか?その会議は2時間も必要だったのか?あらためて見直す契機にもなりました。

実際に集まっていたときは、せっかく各々が移動をして集まったのだから、ある程度の量の時間を確保して会議をした方が良かったのかもしれないけれど、オンラインだと10分単位で会議時間を設定し、必要な参加者だけその都度呼ぶ方がいいのかもしれない。会議は効率的に進めて雑談をする時間は別に設けた方がいいといったことも運用をする中で見えてきます。

しかし残念ながら多くの中小企業では、そうした変化に場当たり的に対応し、会議室をzoomに置き換えただけで従来のやり方を続けている。せっかくみんなが初心者なのだからもっと実験しておくべきだったのに、元の日常に戻っていく。

自社でできないならみんなで考えよう

「元の働き方に戻すのが良いことなの?」という疑問は、自社だけ見ていては違和感に気がつきにくいこと。そして、ネット記事やオンラインイベントで先進事例を見ていても、自社の状況とは程遠く憧れるばかりといったことはないでしょうか。

私は、自社以外の自分と似たような環境にある人達、ちょっと先行く人達と一緒に、目の前の課題について考え続けることの方が大切ではないかと考えています。

企業の総務・バックオフィスで働く人が集まるオンラインコミュニティ「SOU-MU部」では、今回のような感染症、地震などの災害があったときのためにBCP(事業継続計画)をつくりたいけれど、一から自分でつくるのは大変というバックオフィスの方が多くいます。

もちろん他社の素晴らしい事例を学ぶことも大事ですが、一緒に情報を集め、テンプレートとなるような素案をみんなでつくってみることの方が学びが大きいはず。大企業でBCP策定に関わる総務さんもいれば、ゼロからつくろうとしている総務さん、自分でつくってきた経験がある総務さんなど、それぞれの視点から関わることでお互いに学んでいこう。そんな考えからプロジェクトがはじまろうとしています。

ご関心のある方は、ぜひオンラインコミュニティに参加してみてくださいね。

これからの時代、とにかく「やってみる」ことの大切さが増していくでしょう。地域や環境を言い訳にせず自分のキャリアを考えることができるようになる中で、自分の働き方を見直す機会を自分で創り出していきましょう!

税理士・中小企業診断士 S0U-MU PROJECT代表 田中 慎

経営者の良きパートナーになりたいと、税理士資格、 中小企業診断士資格を取得。2019年より 総務やバックオフィスで働 く人達のためのSOU-MUプロジェクトを開始。 「SOU-MU NIGHT」など、 起業家とバックオフィスで働く人達が地域で繋がり、支え合う環境づくりを目指している。

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