採用のあとに浮き彫りとなる課題とは? 世間では、人材の確保つまり採用についての課題が取り上げられることが多いが、 中小企業・小規模事業者における人材不足もさることながら人材定着が大きな課題となっている。
中小企業庁の調べによると、採用後3年間の離職率は中途採用では約3割、新卒では4割を超えており、実に半数近くが3年間で離職してる。 一人採用するのにかかるコストが平均50万円と言われているが、限られた予算の中で採用活動を行なっている企業にとっては、この数字は深刻な問題ではないだろうか。
中小企業の方は必見!社員の定着率向上にやっているコト。 では、中小企業・小規模事業者は人材の定着についてどのような取組を行っているのだろうか。 下図は、中小企業・小規模事業者が人材定着のために行っている取組を調査したものだが、「賃金の向上」(70.8%)や「雇用の安定化」(63.7%)が高い割合となっていた。 資料:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月、(株)野村総合研究所)
賃金の向上で定着率も改善されるのか? 賃上げできる会社であれば、それに越したことはない。 けれども、人件費には限りがあるし、そもそもそれで本質的な解決になるのだろうか? 実際、3年以内の離職者を対象に退職理由を聞いたところ、「人間関係(上司・同僚)への不満」が33%と最も高く、次いで「業務内容への不満」が11%となっている。 資料:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月、(株)野村総合研究所)
言い換えれば、根本的な要因である職場の人間関係や業務内容に納得ができていれば、離職を食い止めることができるのではないだろうか?
社員が求めているコト。 この仮説を裏付ける、次のデータを見て欲しい。
資料:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月、(株)野村総合研究所)
「就業者から見た、人材定着に関する取組の有効性」では、「興味にあった仕事・責任ある仕事の割り当て」が68.8%ともっとも高くなっている。 次が「休暇制度の徹底」67.1%、という結果であった。 この結果の興味深い点は、人材定着に関する取組の有効性として挙げられているのが「資格取得の支援」や「職場環境・人間関係への配慮」が「賃金の向上」よりも上位になっている点である。
組織の中で働きやすい環境
つまり、就業者が今いる職場へ求めていることは、「仕事へのやりがい」であったり「仕事がしやすい環境や人間関係」なのだ。 賃金の向上よりも先に、これらを改善することにより定着率が向上しゆくゆくは会社の売り上げの向上にも繋がるのであれば、希望のある話ではないだろうか。
今からでもできる!「仕事へのやりがい」「仕事がしやすい環境や人間関係」への取り組み
新入社員のモチベーションには波があり、入社当初のモチベーションは高くその後、それぞれのフェーズにおいてモチベーションは上がり下がりが出てくる。新入社員にはフェーズ毎で状況や心理に変化があり必要となるサポートが異なるのだ。 モチベーションの上がり下がりとやる気の構造を理解し、上手くジョブロール(職責)のサポートを行うことで、仕事へのやりがいを感じ取り組んでくれることだろう。
モティファイでは、このような社員のモチベーションカーブと適切なジョブロールサポートについてを解説するセミナーを実施している。また、GoogleやFacebookなど急成長企業にヒアリングした、フレームワークと心理学的安全性についても事例の紹介を交えて紹介している。 「仕事へのやりがい」「仕事がしやすい環境や人間関係」への取り組みは、一朝一夕では解決しないのは事実だが、いつからでも着手できるし、今から始めればそれだけ早く改善への道筋が見えてくる。 是非この機会に参加してみて欲しい。きっと新しい発見があるだろう。
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【執筆者プロフィール】
ドレ・グスタボ(ドリー) CEO (Chief Executive Officer)
新しい働き方を目指し、HRTECHベンチャーのワークスタイルテック株式会社取締役。元ソニーVAIOの商品企画において、グローバルなボリューム商品からハイクラスな商品までを担当し、リクルート(株)においては様々なインターネットサービスのUI/UXの設計を行う。慶應大学でデザイン思考の修士課程を卒業。VAIO時代からリクルート時代を含めて、イノベーションを目的としたプロジェクトリーダーとしての役割を果たす。
「テクノロジーで個々に最適な働き方の選択肢を与える」世界を作りたい。
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