今回は、『出入りの多い会社の労務必見!賢い仕事の捌き方』についてお話します。
注目その1 売り手市場による労働力移動
ここ数年売り手市場が続いています。社員として良い人材を確保するには人材紹介会社が必須になり、紹介料の負担が重くなっています。またアルバイトやパートについても求人広告の費用がかかる割に中々集まらず、時給ばかりどんどん高くなっていませんか。
今や東京の飲食業の平均時給は1,152円。せっかく採用が決まり、保険証がようやく事業所に届く頃には退職の連絡が入るというケースも増えているようです。
厚生労働省の発表によると、直近の新規有効求人倍率は2.45という高水準で、新規大学卒の3年以内離職率も32%(つまり3人に1人が3年以内に辞めてしまう)まで達しています。辞めてもすぐに再就職先を見つけられる状況では、3年間は我慢して頑張ろうという意識になりにくいのかもしれません。
同時に、政府主導の働き方改革により、企業は労働時間の削減と有給消化を求められるようになりました。人事部としては、定時帰りの推奨と有給の100%消化を行いたいところですが、入退社が激しい状況では、その管理や定着のための施策の検討で手一杯ではないでしょうか。人事部こそ効率的に賢く仕事を捌いて生産性を上げていきたいところです。
注目その2 政府が進めるデジタル化
2020年4月から、大企業では社会保険手続きの電子申請義務化が始まります。またマイナンバーカードが今後は保険証の機能を持つことも決まりました。これらは数年前から政府が各省庁に行政手続きコストの20%削減を求めていたことの影響で、徐々に手続きの簡略化、電子申請化が進んでいます。
この春に成立したデジタル・ファースト法は、更なる電子申請を進める法案です。この法律によりインターネット経由で住民票の移転手続きを行うと、その情報を基に電気やガス、水道の契約変更も可能になる予定です。今後、企業にとっては登記、納税、社会保険手続きなど様々な部分に影響を及ぼすことになります。
デジタル手続法|首相官邸
注目その3 社内業務をクラウド化する
この近い将来を見据えて、賢く仕事を捌くための、幾つかのアイデアを考えてみましょう。
まず人事管理を紙で管理してる企業は、早めにクラウドのシステムに切り替えましょう。 例えばSmart HRやオフィスステーション、Welcome HRなどを利用し、労務管理システムをデジタル化することは、今後の電子申請の流れを考えると必要です。
入社情報を本人に入力してもらい、その入力を元に雇用契約書を作成し、デジタルサインを得て本人に交付する。紙は不要になります。どこかで決済が止まることもありません。クラウド化することにより、本人に申請させた内容が直接管理部門に届くため、伝達ミスも防ぐことができます。入社前に情報の回収が出来るなど、入社後の手続きをスムーズに進めることも可能になるでしょう。社会保険手続きはこのデータを元に電子申請していきましょう。
次に、勤怠管理をタイムカードで行っている場合は、クラウドの勤怠システムに切り替えましょう。改正労働基準法では、通常月の残業は45時間までしか出来ません。紙のタイムカードで管理している場合は、締め日が過ぎないと残業時間が把握できませんが、クラウドの勤怠システムは日々状況の把握ができます。
勤怠システムとしては、例えば上位機種としてAMANOや日通システムの製品などがあり、これらはカスタマイズで設計から依頼することができます。ただし上位機種は100万から200万を越す予算が必要になります。もし予算を抑えたい場合は、ジョブカンやjinjer[ジンジャー]、KING OF TIMEなど1人300円程度から課金契約が出来る製品がお勧めです。残業時間の管理は、コスト削減に繋がります。また有給の取得状況も把握できるため、企業にとってはマストな選択となります。
またクラウドという意味では、業務のアウトソース化も進めてみましょう。
例えば社内で行っている給与計算や社会保険手続きは、そのまま外部の社会保険労務士に依頼することがおすすめです。専門家が行うことにより、ミスの防止につながります。ここ数年は特に法律の改正が多いため、知らない間に法律違反をしている可能性もあります。専門家に依頼することは、リーガルチェックの機能も果たします。
最後に、タスク業務やシステム改善などはどんどん外部に出してしまいましょう。
例えばクラウドソーシングのランサーズやクラウドワークスを通じて、タスク業務を外注化する。最初は抵抗感がありますが、非常に効率的な進め方です。どのような業務を出せるのか、実際にサイトで他社の発注内容を見てみましょう。案外具体的に発注する業務を思いつくかも知れません。
またシステム改善については、イメージを伝えるだけでフリーランスのSEが様々な提案を行います。企業としてあったらいいなという仕組みを、どんどん外部の人が具現化する。社員は本業に集中することができます。これは企業の更なる発展にも繋がる動きになることでしょう。
Comments